歯茎の病気といえば、歯周病、歯槽膿漏というものを皆さん真っ先に連想すると思います。
しかし、これ以外にも歯肉炎や歯周炎というようなものもあり、すべて混同されがちなのですが、実はそれぞれに違いがあり、病態によって対処法なども変わってきます。
今回はそれぞれの違いについてご説明します。
歯周病とは
歯周病とは、歯の周囲にある歯茎や骨などの組織が、歯周病原菌によって炎症を起こしたり、破壊されたりする病気の総称です。歯周病は病状が軽度である歯肉炎と、より状態が深刻な歯周炎に分けることができます。
■歯肉炎(しにくえん)
子供や若年者に多く、炎症が歯茎だけにとどまっている状態です。
歯磨きがおろそかになると、歯茎が赤く腫れて出血しやすくなりますが、この状態がまさに歯肉炎を起こしている状態です。この段階であれば、ブラッシングをしっかりと行うことで、健康な状態に戻すことができます。
もし歯石が溜まっている場合には、歯医者さんで歯石を落としてもらう必要があります。
■歯周炎(ししゅうえん)
30代以降の成人に多く、炎症が歯茎だけでなく、骨などにも及んで破壊されてしまっている状態です。
現在日本では、成人の8割がかかっているとされています。初期の頃には自分では気がつきにくく、放置していると病状が進んで、だんだんと骨が溶けて、しまいには歯を支えられなくなって抜け落ちてしまいます。
ブラッシングだけで治すことは難しい場合が多く、歯科医院で、歯茎の内部にたまった歯石や歯垢を取り除くというような、定期的なケアを受けて、悪化させないようにすることが大切です。
歯槽膿漏(しそうのうろう)とは
歯槽膿漏というのは昔から使われている言葉で、歯が埋まっている骨である「歯槽骨」から「膿が漏れ出す」ということからきています。
一般的に、歯茎の病気で膿が出てくる状態というのはかなり状態が悪化しています。つまり、歯槽膿漏とは歯周病が非常に進行した状態を表しており、かつては専門家の間でもよく使われていましたが、現在では「重度の歯周病」という表現をされるのが通常になっています。
歯槽膿漏という言葉が当てはまるような状態はかなり悪化しているため、治療しても手遅れ、もしくはあまり効果がない場合が多く、抜歯になってしまうことも多いです。
ですが、適切な処置によってなるべく長持ちさせることも可能ですので、こまめに歯科医院でのケアを受けることを勧められる場合もあります。
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