歯周病は、お口の病気の中でも少し特殊な性質を持っています。
進行すると、歯茎だけでなく、顎の骨まで破壊してしまいます。
さらに、歯周病菌や炎症性物質が血流に乗って全身を巡ると、脳血管疾患や心疾患、糖尿病などを誘発することもあります。

そんな歯周病のリスク因子として注意しなければならないものに喫煙習慣があります。

1 タバコの煙には一酸化炭素が含まれている

タバコの煙には一酸化炭素が含まれています。
火事場などで発生して“一酸化炭素中毒”を誘発する物質ですね。
石油ストーブやガスストーブを換気せずに使い続けることでも発生しやすくなります。

喫煙は、そんな一酸化炭素を能動的に吸い込む行為であるため要注意です。
そこで気になるのが“なぜ一酸化炭素が中毒症状を引き起こすのか”という点ですよね。

2 一酸化炭素で酸素供給が妨げられる

少し専門的な説明になってしまいますがご容赦下さい。
私たちの血液中には、ヘモグロビンと呼ばれる酸素を運搬する色素が存在しています。
正常な環境であれば、ヘモグロビンが酸素と結びついて、全身の細胞へと酸素供給してくれるのですが、一酸化炭素が存在するとそのサイクルが乱されます。

なぜなら、一酸化炭素は酸素の200倍、ヘモグロビンと結合しやすいからです。
それは末端の組織である口腔粘膜でも同じです。

一酸化炭素によって酸素供給が妨げられ、歯茎などの健康状態も悪化します。

3 ニコチンによる血管収縮

タバコには、ニコチンという一種の神経毒も含まれています。
ニコチンは、血管を収縮させる作用があり、歯茎を始めとした口腔粘膜の血流を悪くします。その結果、酸欠や栄養不足を加速させるのです。

4 タバコは免疫機能や治癒機能も低下させる

タバコの煙は、細菌などの病原体を排除する免疫能を低下させます。
また、傷ついた歯茎などを修復する創傷治癒の機能も低下させることから、ますます歯周病菌に感染しやすくなってしまうのです。
その他、タバコのヤニが歯面に付着することで、歯垢や歯石の形成が促されるというデメリットも存在しています。

▼まとめ

一見するとお口の病気とは関係が無いと思われがちな喫煙習慣ですが、実は歯周組織にさまざまな悪影響を及ぼすことがあるのです。
それだけに、タバコを吸っている人は、できるだけ早い段階で禁煙することが推奨されます。
特に歯周病にかかっている人や歯周病の治療を終えた人は、禁煙することをおすすめします。

習慣性があるタバコなのでなかなかやめずらいとは思いますが、健康のために頑張って禁煙してみてはいかがですか?