歯周病は口腔疾患、糖尿病は全身疾患であり、一見すると何ら関係のないもののように思えます。
けれども、この2つの病気にはかなり密接な関係が認められるのです。
しかもお互いに悪影響を及ぼし合う“負の相互関係”にあることから、十分な注意が必要です。

1 歯周病から糖尿病への悪影響

歯周病にかかっていると、糖尿病のリスクが上昇します。あるいは、糖尿病の症状が悪化します。
これは歯周病の重症化によって、サイトカインと呼ばれる炎症性物質が血中にたくさん存在するようになるからです。
サイトカインは、血糖値を下げるインスリンの効果を減弱さることがわかっています。
糖尿病という病気は、インスリンの効果が弱くなる、あるいは分泌量が少なくなる病気であることから、歯周病の重症化がそのまま糖尿病の発症リスクの上昇へとつながるのです。

2 糖尿病から歯周病への悪影響

糖尿病にかかっていると、末梢の組織への血流が悪くなります。
血液は、酸素や栄養素、免疫細胞などを運ぶ重要なものであり、その供給が滞ると、容易に感染するようになります。
歯周病菌が感染する歯茎は、まさに末梢の組織であり、糖尿病の影響を受けやすい部位でもあるのです。

3 どちらも生活習慣病?

糖尿病は生活習慣病の代名詞ともいえる病気ですが、実は歯周病もその一種であると考えられる傾向にあります。
正しい歯磨き習慣や食事の習慣が身に付いていないと、発症のリスクが大きく上昇する病気だからです。
そのため、生活習慣が乱れている人は、どちらの病気もかかりやすいといえます。

4 治療効果は“正の相互関係”?

歯周病と糖尿病は、放置することでお互いに大きな悪影響を与え合います。
逆に、適切な治療を受けることで、良い影響を与え合うことも可能です。

例えば、歯周病の治療を受けることで、歯茎の腫れや出血、歯槽骨の破壊が止まるだけでなく、血中のサイトカイン値も低下します。
インスリンへの悪い作用が取り除かれ、糖尿病の症状緩和にもつながるのです。

糖尿病の治療を受けると、末梢の血流が回復し、歯茎も歯周病菌と戦えるようになります。
その結果、歯周病の症状も改善されていくのです。そう考えると、どちらの治療もやりがいが出てくることかと思います。

▼まとめ

このように、歯周病と糖尿病には負の相互関係が認められるため、どちらも重症化させないよう注意しましょう。
歯周病の症状に気付いたら、すぐに当院までお越しください。

しかし、歯周病は自覚症状が乏しい病気です。やはり、歯科定期検診を習慣にすることが肝心です。