歯周病になると、「歯茎が痩せる」という現象が起こります。
歯周病はそもそも歯茎が腫れる病気です。
じゃあなぜ痩せたり、下がったりするのか不思議に感じているかもしれませんね。
今回はそんな歯周病で歯茎が痩せる理由をわかりやすく解説します。
1 歯茎が腫れる理由
歯周病で歯茎が腫れるのは、歯周病菌に感染して、炎症反応が生じているからです。
病原体をやっつけるために、白血球などの免疫細胞が頑張っている証拠です。
そのため、歯茎が腫れること自体は、正常な免疫による反応といえます。
風邪を引いた時に、扁桃腺が腫れるのも同じメカニズムです。
一方、「歯茎が痩せる」となると、話は少し変わってきますよね。
風邪をこじらせても、喉の粘膜が痩せるということはまず起こり得ません。
2 歯茎が痩せる理由
歯周病によって歯茎が痩せるのは、歯周組織が破壊されているからです。
歯周組織とは、歯茎である「歯肉(しにく)」と顎の骨である「歯槽骨(しそうこつ)」、それらをつなげる「歯根膜(しこんまく)」などを指します。
歯周病が重症化すると、これらの組織をことごとく破壊していきます。
ですから、歯茎が痩せる、歯茎が下がるといった表現が正確であるかは別として、歯周組織は徐々に減少していきます。
これが歯周病によって歯茎が痩せる理由です。
3 痩せた歯茎は元に戻る?
歯周病によって破壊された組織は、基本的に元には戻せません。
歯周病を治療することによって、症状を緩和することは可能ですが、痩せた歯茎や歯槽骨をもとの健康的な状態まで回復させるのは、不可能に近いといえます。
それだけに、歯周病は重症化させてはいけない病気といえるのです。
4 歯周病菌は骨を溶かす
ここまで、歯周病に歯茎が痩せる理由を解説していきましたが、さらにミクロな視点から歯周病を考えてみましょう。
虫歯では、虫歯菌が産生した酸によって歯質が溶かされますが、実は歯周病でも同じような現象が起こっています。
歯周病菌は、ある物質を産生して、歯槽骨を溶かしていきます。
その結果、顎の骨が痩せていくのです。
歯を支える骨が溶けていくのですから、歯を支える機能が次第に失われていきます。
そして、歯がグラグラになり、最後には歯を失うことになります。
改めて歯周病が怖い病気であるとおわかりいただけるかと思います。
▼まとめ
このように、歯周病は進行する過程で、歯茎や歯槽骨を破壊していきます。
それによって歯茎や顎の骨が痩せる、という現象が起こるのです。
歯周病によって失われた歯茎や歯槽骨は、もう二度と、元の状態に戻すのは不可能なので、可能な限り重症化を避けることが必要です。
国民病ともいわれる歯周病。
自覚症状がある方はもちろん、症状がないあなたも、ぜひ歯科医院でチェックしてほしいです。
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