口腔ケアを怠り、お口の中が不衛生になるとさまざまな汚れが形成されます。
最も一般的なのは歯垢(しこう)と歯石(しせき)です。これらは誰の歯にも形成されるものであり、虫歯や歯周病の原因となります。
でも、歯垢と歯石ってなにが違うの?と聞かれたらなかなか答えられないと思います。
今回はそんな歯垢と歯石の違いについて、わかりやすく解説します。
1 歯垢の特徴
歯垢はプラークとも呼ばれる物質で、ほとんどは水分ですが、その中に無数の細菌が含まれています。
肉眼では白い付着物として観察され、歯ブラシで容易に取り除くことが可能です。
そんな歯垢は、食事をしてから4~8時間で形成されます。意外に早いので、驚かれる方も少なくありません。
2 歯垢による虫歯リスクの上昇
歯垢はいわば“細菌の塊”であり、歯面に付着しているだけで、虫歯のリスクが上昇します。
厄介なことに、歯垢の中は唾液による殺菌作用や抗菌作用を受けにくく、細菌にとってこの上なく活動しやすい場となっているのです。
そのため、歯垢を放置すればするほど、細菌が産生する酸の量が増え、歯の脱灰も進行することとなります。
3 毎日プラークフリーな状態を作ることが大切
上述したように、歯垢はブラッシングによって容易に除去できますので、ため込まないようにすることが大事です。
毎食後丁寧に歯磨きできればいいのですが、なかなかできないことも多いと思います。
そんな時は、夜眠る前など、1日1回は時間をかけて丁寧に歯磨きし、プラークフリーな状態を作ることが大切です。
4 歯石の特徴
歯石は、歯垢が文字通り石のように硬くなった物質です。
舌で触っても、明らかに歯垢とは異なる感触が得られます。これは唾液に含まれる成分によって、歯垢が石灰化を受けた結果です。
唾液には、歯を修復する作用があるのですが、歯面に歯垢が存在していると、歯垢もろとも石灰化を進めてしまうのです。
石のように硬い歯石は、当然、歯ブラシによるブラッシングでは取り除くことができません。
5 歯石による歯周病リスクの上昇
歯石は、虫歯はもちろん、歯周病のリスクも上昇させます。
これは歯石が足場となって、歯周病菌を歯面に定着させやすくするからです。
特に歯周ポケット内は酸素が少なく、歯周病菌が繁殖しやすい環境となっています。そこに形成された歯石は、極めて有害といえます。
6 歯石は専用器具でしか落とせない
歯石は、一度形成されると、セルフケアで除去するのが不可能となります。
歯石を取り除くためには、歯科医院でスケーリングやルートプレーニングという処置を受ける必要が出てくるのです。
スケーリングとは、スケーラーと呼ばれる専用の器具を使って、見えている部分に形成された歯石を取り除く処置です。
歯根面(見えない部分)に形成された歯石はルートプレーニングという処置で除去します。
こうした歯石除去は、専門家に任せるしかありません。
▼まとめ
歯垢と歯石には明確な違いがありますが、歯周病やむし歯を誘発する点は共通しています。
歯周病やむし歯を予防するのであれば、歯垢や歯石をためこまない、衛生的なお口の環境を維持することが何より重要になります。
とはいっても、セルフケアだけではどうしても完全に取り除くことはできません。
定期的に歯医者さんに通ってプロによる歯垢と歯石の除去を習慣化しましょう。
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