近年、歯周病と全身的な病気との関連性が注目されています。
一昔前までは歯周病になると「歯が抜けてしまう」という認識しかありませんでしたが、もはやそれにとどまらず、体のあちこちの病気を起こすことが次々に証明されてきています。
そして、歯周病は肥満やメタボリックシンドロームとも関連性があることが近年報告されてきています。
肥満な人は歯周病にかかりやすい
1998年に福岡市健康づくりセンターにおいて行われた健康診断結果により、肥満が歯周病と大きく関連していることが初めて報告されました。
この報告によると、肥満の度合いが高い人ほど歯周病にかかっている人の割合も高いという結果が出ました。また体脂肪率に関しても、体脂肪率が5%上がるごとに歯周病にかかる危険度は1、3倍増加していくという結果となりました。
この調査において、現時点で健康な状態であっても、メタボリックシンドロームのような代謝異常、つまり肥満に関連した状態においては、歯周病が発症している、もしくは悪化している、という結果が出たのです。
その後も、国際歯科研究学会や、アメリカ歯周病学会などでも肥満と歯周病との関係が次々に報告されました。
脂肪細胞は様々な物質を分泌しており、そのうちの一つであるTNF-αと呼ばれる物質が、歯周病の起こっている部位で歯を支える骨を溶かすことが原因の一つではないかと推測されています。
歯周病は肥満を引き起こす
肥満やメタボリックシンドロームの人に歯周病が多いだけではなく、その逆、つまり、歯周病が肥満やメタボリックシンドロームを引き起こす可能性もあるとされています。
実験では、歯周病菌が作り出す炎症性物質をマウスの体内に入れると、肝臓や脂肪組織に脂肪が蓄積され体重が増加し、その後高脂質の餌を与えると肥満がさらに進行しました。
しかし、炎症物質を与えなかったマウスにおいては高脂質の餌を与えても体重は増えなかったという結果が出たのです。
歯周病は糖尿病の合併症の一つとして数えられています。
また、歯周病が糖尿病を引き起こすこともわかっています。
このように歯周病と糖尿病は密接な相互関係があります。肥満は糖尿病の大きな危険因子として知られていますが、たとえ糖尿病を発症していなくとも、その前段階の肥満やメタボリックシンドロームの状態でも歯周病を発症する危険性が高くなる、というのは大いに注目すべき点であると言えます。
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