私たちの歯は、乳歯と永久歯の2つに大きく分けることができます。乳歯は子どもの歯であり、適切な時期がきたらすべて永久歯に生え変わります。そんな乳歯は、永久歯よりもむし歯になりやすく、その進行も比較的早いです。今回はそんな乳歯のむし歯の特徴について、わかりやすく解説します。

1 乳歯は歯質が未成熟

乳歯は、一見すると永久歯と何ら変わりのないように見えるかもしれませんが、実は、歯質の成熟度に違いがあります。
歯の一番外側を覆っているエナメル質が永久歯ほど成熟しておらず、外からの刺激を受けやすくなっているのです。
光学顕微鏡などを用いて確認すると、無数の微細な穴があいていることがわかります。
そうした穴に酸が入り込むと、脱灰(だっかい)と呼ばれる現象が促進されるのです。

2 永久歯の半分の厚みしかない

乳歯も永久歯も外側から「エナメル質・象牙質・歯髄腔」という構造をとっている点は共通していますが、厚みに関しては大きな違いが見られます。
乳歯のエナメル質・象牙質は、永久歯の半分の厚みしかないのです。
つまり、歯の神経や血管から構成される歯髄までの距離が近く、歯髄炎などの症状も起こりやすくなっています。
乳歯のむし歯があっという間に進んでしまうのはこのためです。

3 歯並びが安定していない

乳歯列は、歯並びが安定していない点もむし歯のリスクを上昇させる一因となっています。
子どもの歯は生後8ヶ月くらいから生え始め、3歳くらいまでには生えそろいます。
全部で20本の乳歯が別々の時期に生えてくるため、歯列が凸凹の期間もそれなりに長くなります。
その後、6歳くらいから永久歯への生え変わりが開始しますが、乳歯と永久歯ではそもそも歯の大きさに違いあり、再び歯列が凸凹の時期に入ることになります。
そうした歯並びの乱れは、清掃性を低下させ、むし歯のリスクを上昇させます。

4 上手に歯磨きできない

正しい方法で歯磨きできるようになるまでには、相当な期間を要します。
もちろん、ひとり磨きを習得するまでは、親御さまによる仕上げ磨きを同時に行っていくこととなりますが、それでもやはり、汚れが溜まりやすくなるのが現実です。
それだけに、定期的な歯科検診やメンテナンスを受けることが大切なのです。

▼まとめ

乳歯はいくつかの理由からむし歯になりやすくなっています。子どものむし歯を予防するのであれば、その点をしっかり把握しておくことが大切です。