「虫歯菌は歯を溶かす」というのはあなたも知っていると思います。

しかし、むし歯以外でも歯が溶ける現象があるのをご存知でしょうか。

それもかなり身近で、誰もが毎日口にしている食品が原因となる現象で、専門的には「酸蝕症(さんしょくしょう)」と呼ばれています。

1 酸蝕症ってなに?

酸蝕症とは、虫歯菌以外の原因で歯が溶ける病気です。

具体的には、酸性の飲み物や食べ物などを口にすることで、エナメル質や象牙質が溶けていきます。

つまり、私たちの歯というのは、虫歯菌が産生する酸だけに弱いのではなく、同じように酸性を示す物質全般に対して脆弱な性質を持っているといえるのです。

2 酸性の飲み物ってどんなもの?

人体で最も硬い組織であるエナメル質を溶かすわけですから、酸性の液体というと塩酸や硫酸などを思い浮かべてしまいそうですが、実際はもっと身近な飲み物が該当します。

具体的には、炭酸飲料やお酢などですね。これらは日常的に摂取する機会も多いと思いますので要注意です。

さらに意外なのがスポーツドリンクやジュースなどの清涼飲料水、それからワインやビールなども酸蝕症の原因となります。

そう言われると「水しか飲んではいけないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、問題となるのはこれらの飲料の「飲み方」なのです。

3 頻繁に飲んではいけない

上述した飲料は、誰しもが毎日口にするものばかりですので、一切飲んではいけないということはありません。

注意すべきなのは、ワインや日本酒などをちびちびと時間をかけて飲んだり、スポーツドリンクを頻繁に口に入れたりする飲み方です。

こういった飲み方をしていると、お口の中が酸性になる時間が長引き、歯が溶けるリスクも高まってしまうのです。

もちろん、水分補給というのは体調を管理する上で重要なことですので、頻繁に摂取するのであればミネラルウォーターなどに限定した方が賢明といえます。

4 お口の中を中性に戻すことが大切

私たちのお口の中は、何らかの食べ物や飲み物が入ってくると、ほとんどのケースで酸性に傾きますが、ほどなくして中性へと戻っていきます。

これは唾液による緩衝作用です。

この緩衝作用があることで、歯は溶けずに正常な状態を保つことができています。

ですので、酸性の食品を口に含んだら、だらだら食べたり、ちびちび飲んだりはせず、唾液が緩衝作用を発揮できるような環境を作ってあげるようにしましょう。

5 まとめ

このように、歯は虫歯菌による酸の刺激だけでなく、普段、何気なく口にしている食品によっても溶けることがあります。

そんな歯の酸蝕症を防ぐためには、歯の性質や唾液の作用などを念頭に置いた上で、食生活を見直す必要があります。

気を付けてくださいね。