あなたは「歯科疾患実態調査」というものをご存知でしょうか?厚生労働省が5年に1回行う調査で、私たち国民がどのくらい虫歯にかかっているか、どのくらいの歯が残っているかなどをそれぞれの年代ごとに調べます。

よくニュースや雑誌で紹介される歯やお口の健康に関するデータは、この調査が根拠になっていることが多いです。そこで気になるのが高齢の方の虫歯を持つ人の割合です。

1 40代をピークに虫歯は減っていく?

歯科疾患実態調査の中では、虫歯を持つ人の割合をわかりやすくグラフにしてくれています。

これを見ると、50代後半からその数が減少していくのがわかります。おそらくこのデータ、メディアでも取り上げられたことがあり、不思議に思っている方も少なくないかもしれません。

でも、虫歯というのは、年を取れば取るほど増えそうなものですよね。

2 実は歯の本数が減っている

この調査では、それぞれの年代でどのくらいの歯が残っているかも調べていますが、当然のことながら高齢になるほどその本数は減少します。

つまり、高齢になるほど虫歯を持っている人が少なくなるというのは、そもそも虫歯にかかる歯そのものが少なくなっているからなのです。

この数字は歯周病や虫歯で歯を失っている結果であり、決して健康になっているわけではないのです。

3 歯を失うことのデメリット

虫歯をしっかりと予防することはとても大変なことです。

毎日のブラッシングを継続するだけではなく、歯科医院で定期検診やプロフェッショナルケアも受けることも不可欠です。

それだけ苦労しても虫歯にかかってしまうのなら「いっそ歯を失った方が楽なのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、歯がなければそもそも虫歯にもかかりませんし、痛い思いや不快な虫歯治療を受ける必要もなくなります。

けれども、1本でも歯を失うと、私たちのお口の中にはいろいろな変化が生じます。噛み合わせが悪くなることはもちろん、歯並びが乱れて見た目が悪くなったり、顎の骨が痩せたりするなど、その影響は多岐にわたります。

なにより、大好きな食べ物を美味しく食べられないことになります。

好きな食べ物を何でも噛める喜びというのは、歯を失ってから始めて感じるものです。

ですので、面倒とは思わずに、虫歯を予防し、1本でも多くの天然歯を残すことが何より重要といえるのです。

▼まとめ

高齢になるほど虫歯の数は減っていきますが、大切な天然歯そのものの数も減っているのが現実です。

天然歯は、何にも代え難いものなので、70歳や80歳になってもできるだけたくさん残せるよう努力してくださいね。

参考URL::https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/62-28-02.pdf

平成28年度 歯科疾患実態調査 図10.う歯を持つ者の割合の年次推移