あなたは「根面う蝕」という言葉を聞いたことがありますか?

歯の根っこの部分に生じる虫歯なのですが、年をとると発症しやすくなるのが特徴です。

そんな根面う蝕の特徴や原因、予防法などについて詳しくお話しします。

1 根面う蝕とは

根面う蝕とは、歯根(歯の根っこ)面に生じるう蝕(虫歯)で、高齢の方に多く発症しやすいです。

痛みはそれほど強くないのですが、黒ずみが生じるため、自覚しやすい種類の虫歯といえます。

けれども、虫歯というのはそもそも歯冠(しかん)という歯の頭の部分に生じる病気ですが、なぜ歯根の部分に生じるのでしょうか?

2 歯根が露出することで発症する虫歯

健康な歯ぐきは、歯の根っこの部分をしっかりと覆っていますので、お口の中に見えているのは歯冠部のみとなっています。

ですから、虫歯にかかるのは基本的に歯冠部の歯質です。

けれども、歯周病などによって歯茎が下がっていると、歯根面の一部が露出しているため、そこから虫歯が発生することがあるのです。それが根面う蝕と呼ばれる虫歯です。

3 歯根の部分にはエナメル質がない?

歯冠と歯根というのは、歯の部位が違うだけでなく、歯質を構成している組織が大きく異なります。

歯冠部は、人体で最も硬いエナメル質に覆われていますが、歯根部にはそれがないのです。

ですから、歯茎が下がって露出した歯根面は、エナメル質ではなく象牙質で覆われています。

これが根面う蝕の発症に大きく関わっているのです。

ちなみに厳密には、象牙質の表面に「セメント質」と呼ばれる組織が存在している部位もあります。

4 象牙質は外からの刺激に弱い

エナメル質と比較すると、象牙質は外来刺激に弱いです。

強い力でゴシゴシと歯磨きをしていると、象牙質は段々摩耗していきます。

また、歯ぎしりや食いしばりなどの習慣があると、歯根部の象牙質に過剰な負担が伝わり、損傷することがあるのです。

さらに、虫歯菌が産生する酸に対しても、溶けやすい傾向があるため、歯の根っこの虫歯を発症しやすくなるのです。

5 根面う蝕の予防方法

歯根面に生じる虫歯を予防するには、何よりも歯根を露出させないことが大切です。

それは歯周病を予防すること自体につながります。

歯ぐきが下がる主な原因は歯周病ですので、オーラルケアを徹底し、歯垢や歯石の沈着を防ぎましょう。

もうすでに歯ぐきが下がって歯根が露出している場合は、歯面にフッ素を作用させることが有効です。

歯科医院でフッ化物塗布を受けることで、歯根部の歯質を強化し、酸などに対する抵抗性を高めましょう。

 

まとめ

このように、根面う蝕というのは歯周病が悪化し、歯ぐきが下がる高齢の方に発症しやすい病気です。

また、若い人でも歯ぐきが下がっている場合は発症しやすくなりますので、何より大切なのは歯周病予防とフッ素による歯質の強化といえます。