肝臓病といってもいくつか種類があり、ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、肝硬変、肝がんなどが挙げられます。

肝臓病の8割はウイルス性だと言われており、歯科治療に際してはウイルス感染の問題をはじめ、それ以外にもいくつか注意すべき点があります。

肝臓病の人は歯科治療時に注意が必要

肝臓病の人は歯科治療に際して次のようなリスクがありますので気を付けましょう。

■ウイルス感染

ウイルス肝炎にはA型、B型、C型などが挙げられます。

その中でもB型とC型は強い感染力があり、そしてその後肝硬変や肝がんへ移行する場合もあるため、感染防止に細心の注意を払う必要があります。

歯科医院では感染防止対策として徹底的な滅菌を行ってはいますが、ウイルス肝炎に患っている、もしくはキャリアの人はご自身が自己申告することで、より感染拡大を防止することにつながりますのでご協力をお願いします。

■止血しにくい

肝障害がひどくなると、血液を固める作用が落ち、抜歯などの外科処置後に血が止まりにくくなることがあります。

インターフェロンの治療を受けている人も血が止まりにくくなるため、必ず歯科医師に事前に相談しておきましょう。

■傷が治りにくい

肝障害によって、アルブミンと呼ばれるタンパク質が少なくなるため、抜歯後の傷が治りにくくなります。

また、赤血球や白血球の破壊が行われるため、貧血を起こしやすくなったり、細菌感染を起こしやすくなります。

■薬が効き過ぎることがある

肝障害により肝臓の解毒作用、代謝機能が落ちてしまうため、薬が通常よりも効き過ぎてしまったり、副作用が強く出てしまったりすることがあります。

そのため、薬を飲む際には注意が必要で、抜歯などの外科処置前には、事前に内科の担当医と投薬について相談しておく必要があります。

まとめ

肝臓は体の中で最も大きな臓器であり、タンパク質を作り出したり、有害物質を解毒したり、エネルギーを貯めたりなど、様々な重要な働きを行なっています。

そのため、肝臓を悪くしてしまうと、生活の質を大きく下げてしまうこともありますし、最悪、命に関わることもあるので注意が必要です。

また、肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれているように、多少悪くなったとしても自覚症状が出にくく、自分で肝臓病になっていることに気づきにくい臓器でもあります。

そのため肝臓病を見つけるためには、年に一度の定期健診を受ける必要があります。早期の段階であれば治療で治癒も可能です。

また、たとえ肝臓病であっても歯科治療は可能ですので、安全に治療を行うためにも、主治医に肝臓病であることを初診時に伝えるようにしましょう。