「口腔機能低下症」という言葉をご存知でしょうか?
高齢の方がかかりやすい病気で、社会的にも問題になりつつあります。
今回はそんな口腔機能低下症について、わかりやすく解説します。
1 口腔機能低下症とは?
口腔機能低下症とは、その名の通りお口の機能が低下する病気です。
具体的には、噛む力や飲み込む力、唾液を分泌する機能などが低下していきます。
その原因は主に加齢であることから、すべての人に発症するリスクがあるといえます。
もちろん、全身の病気や常用している薬剤が原因となることもありますので、まずは適切な検査を実施して、正しい診断を下すことが大切です。
2 口腔機能低下症の検査方法
口腔機能低下症は、全部で6項目の検査を実施して、3項目以上当てはまる場合に治療の対象となります。
検査項目は、「口腔衛生状態」「口腔乾燥」「咬合力」「舌口唇運動機能」「舌圧」「そしゃく機能」の6つです。
どれもお口の機能を正常に働かせる上で欠かすことのできないものばかりです。
3 口腔衛生状態を改善する
口腔機能低下症の治療法は、患者さまの症状によって大きく異なります。
例えば、口腔衛生状態が悪い場合は、正しいオーラルケア方法を身に付ける必要があります。
歯科医院でブラッシング指導を受け、適切な歯磨き習慣を身に付けましょう。
舌の表面に形成される「舌苔(ぜったい)」を舌ブラシで取り除くことも重要です。
その他、歯間ブラシやデンタルフロスを活用して、歯と歯の間の汚れもきれいに除去しましょう。
4 唾液腺マッサージを行う
唾液の分泌が低下している人は、唾液腺マッサージを行いましょう。
耳下腺や顎下腺、舌下腺といった大唾液腺を適切な方法でマッサージすることで、口腔乾燥を改善できます。
水分摂取やうがいを適切に行ったり、お口の保湿剤を活用したりすることでも、お口の乾燥を防止することができます。
5 かみ合わせや入れ歯の調整
噛む力が衰えている人は、もしかしたらかみ合わせや使用中の入れ歯に異常があるかもしれません。
そういったケースでは、調整などを加えることで、標準的な咬合力を取り戻せることがあります。
かみ合わせ等が正常であれば、干し芋やドライフルーツなど、ある程度の噛み応えがある食べ物を積極的に摂取しましょう。
その他、舌圧や嚥下機能を改善する方法もありますので、関心のある方はいつでもお気軽にご相談ください。
▼まとめ
このように、口腔機能低下症というのは、直接命にかかわるような重篤な病気ではありません。
けれども、生活の質を低下させる大きな要因となることから、できる限り予防、あるいは改善することが望ましいといえます。
口腔機能低下症を放置していると、お食事をすることが難しくなり、お口だけでなく全身の筋力が衰え、特に高齢の方は要介護状態につながりますので注意が必要なのです。
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