唾液の分泌量と口腔衛生とは、密接な関わりがあります。

唾液腺の機能が低下し、唾液分泌量が減少すると、口腔乾燥を引き起こします。

その結果、虫歯菌や歯周病菌の繁殖が活発化するためです。ただ、細菌の温床となる歯石は、唾液分泌が増加することで形成されやすくなります。

それは歯石が沈着しやすい部位を考えると、自ずと理由もわかってきます。

歯石の成り立ち

歯石は、歯垢が石のように硬くなった物質です。

本当に石のように硬いので、市販の歯ブラシではいくら強く磨いても、歯石を除去することはできません。

そんな歯石は、歯の石灰化と同じメカニズムで形成されます。具体的には、唾液中に含まれているカルシウムイオンやリン酸イオンには石灰化作用があり、これらが歯垢を石のように硬くするのです。

唾液は細菌の活動を抑制している

唾液が歯石を形成する原因と聞くと、まるで悪いもののように思えますが、基本的には唾液は口腔衛生の向上に寄与しています。

唾液には、抗菌作用や殺菌作用だけでなく、洗浄作用や消化作用なども備わっており、虫歯菌や歯周病菌の活動を抑えていてくれているのです。

ですから、唾液分泌が豊富なほど、虫歯や歯周病にかかりにくくなるため、それは歓迎すべき現象といえるのです。

「でも唾液は歯石の形成を促進するのでは?」という疑問が残りますよね。

歯石が形成されやすい部位を意識する

歯石は、下の前歯の裏側や奥歯の周囲など、形成されやすい部位が決まっています。

何を隠そう、これらの部位には大唾液腺と呼ばれる大きな唾液腺が近くに存在しており、絶えず豊富な唾液で満たされているのです。

そのため、こういった部位に歯石ができやすのです。だからといって、特別異常なわけではありません。

ただ、他の部位と比べると、きめ細やかなケアが必要となるため、ブラッシングなどを疎かにするとすぐに歯石が沈着してしまいますので注意が必要です。

唾液の分泌を促しつつオーラルケアも徹底する

唾液は口腔衛生を向上させる大事な物質ですので、よく噛んだり、唾液腺マッサージを行ったりすることで、その分泌を促していきましょう。

すると、特定の部位における歯石の形成も促進されることがあるため、オーラルケアを徹底することも重要となります。

どちらもきちんと行っていくことで、口腔疾患全体の予防へと繋がりますので、是非とも積極的なアクションを起こしていきましょう。