虫歯治療は、電動のドリルで歯を削ったり、不快な臭いの印象材を口腔内に挿入して型を取ったりと、何かと辛い思いをすることが多いかと思います。
それでも「今あるこの痛みがなくなるのなら!」と、決死の覚悟でご来院される方も珍しくありません。
それにも関わらず、治療の翌日にまだ痛みが残っていたらがっかりですよね。ただ、落胆するのはまだ早いです。
虫歯治療後の歯の痛みには、きちんとした理由があるからです。
虫歯治療後はケガを負った状態と同じ?
上述した通り、虫歯治療ではかなり侵襲性の高い処置を施します。
人体で最も硬い組織であるエナメル質をダイヤモンドが含まれたドリルで削るのですから、不快な痛みや振動が生じても何ら不思議ではありません。
また、虫歯の進行度によっては、歯の神経に近い象牙質まで深く削ったり、歯の神経そのものを抜いてしまう処置を施したりすることもあります。
つまり、虫歯治療後の歯は、ある意味大ケガを負った後の状態に近いといえるのです。
麻酔が切れたら痛みが戻ってくる
極めて浅い軽度の虫歯であれば、麻酔を使わないこともありますが、中等度や重度の虫歯となると、局所麻酔を患部に作用させながら虫歯治療を進めていきます。
すると、処置中には一切痛みを感じることはありませんが、処置が終わり帰宅されてから、あるいは翌日に痛みが戻ってくることがあります。
これもまた、仕方のないことといえます。なぜなら、虫歯治療中に感じるはずだった痛みは麻酔によって隠されていたからです。それが麻酔の効果が切れた後に戻ってくることは珍しくはありません。
治療前と治療後では痛みの原因が違う
ここで大切なのは、治療前も治療後も同じように「歯痛」という痛みが生じていたとしても、原因が異なるという点を理解しておくことです。
治療前の痛みは、当然のことながら虫歯菌が歯質を溶解することによって生じる痛みです。
一方、治療後に起こる歯の痛みは、処置の際にドリルの振動や衝撃などが歯髄に一過性の炎症を起こさせたり、知覚過敏を生じさせたりすることが主な原因です。
もちろん、これら2つの痛みを感じ分けることは困難ですので、治療後も痛みが生じるリスクは十分考えられるということを知っておいてください。
ですから、治療後に痛みが生じても、まずは焦らず様子を見ることをお勧めします。
1~2日経っても症状が改善されない場合は、また別の原因が考えられます。そんな時は、迷わず歯科医院を再度受診してください。
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