私たちのお口の中では、成長の過程で「乳歯から永久歯に生え変わる」というとても大きな変化が生じます。
その間、しっかりとした口腔ケアを行っていないと、永久歯列への移行が正常に進まないことも珍しくありません。
一度生えてきた永久歯は、その名の通り「一生使い続ける歯」であることから、何よりも大切にすべき体の組織のひとつといえますね。
でもそもそも永久歯というのは、本当に一生涯、使い続けることができるのでしょうか?
歯には平均的な寿命があります。この寿命を延ばすことがQOLに影響を及ぼします。
1 ヒトの歯にも寿命がある
洗濯機や冷蔵庫といった家電製品には、必ず寿命というものがあり、一定期間使用すると、壊れて使い物にならなくなります。それと同じように、私たちヒトの歯にも寿命というものが存在しています。しかも、歯の部位によって寿命に大きな差が見られるのです。
2 最も寿命が長いのは下顎の犬歯(寿命66年)
ヒトの歯というのは、どれも同じようなものに見えますが、形や機能に違いがあり、寿命にも大きな差が認められます。
最も寿命が長い歯は、下の顎の「犬歯(けんし)」で、男女ともに66年です。
これだけ聞くと、寿命がとても長いように感じますよね。半世紀以上も壊れず機能し続ける家電製品など存在しません。
けれども、歯というのは私たちの体を構成する重要な組織であることを忘れてはいけません。
3 最も寿命が短いのは下顎の第二大臼歯(寿命50年)
私たちの歯で最も寿命が短いのは、下の顎の奥歯である「第二大臼歯」です。
その寿命は男女ともに約50年となっています。
ぴったり半世紀ですね。ここで気になるのが最も寿命が長い犬歯との差です。
この2つの歯には、16年もの寿命の違いが認められるのです。
日々のお口ケアは、そうした違いを意識した上で実施していくことが大切といえます。
なぜなら、歯が寿命をむかえる主な原因は、歯周病とむし歯だからです。
4 病気になりやすい歯となりにくい歯がある
歯の寿命が示すように、私たちの歯には病気になりやすいものと、なりにくいものとがあります。
下の顎の奥歯というのは、そしゃく機能を主体とする重要な歯なので、歯や歯茎にかかる負担も大きいです。
また、汚れもたまりやすい傾向にあることから、毎日の歯磨きをていねいに行う必要があります。
そのように歯の種類によって、ケアの仕方も変えていくことがむし歯や歯周病予防に重要な点といえるのです。
5 歯は一生涯使い続けることはできない?
日本人の平均寿命は男性で81歳、女性で87歳となっています。
最も寿命が長い犬歯でも一生涯使い続けることは難しいといえます。
ただし、これはあくまで平均であって、一生涯、自分の歯で噛み続けている方も少なくありませんのでご安心ください。毎日ていねいにケアしてあげることで、その寿命を延ばすことが可能となります。
▼まとめ
このように、ヒトの歯には寿命がありますが、適切な口腔ケアを実施することでその命を延ばすことは難しくありません。
一生涯、自分が好きな食事を楽しむためには歯の健康が欠かせません。
年を重ねるごとに好きな食事を我慢することは悲しいことです。
いつまでも、おいしく、楽しく、自分の歯で噛み続けるためにも、定期検診を受けるなどしてむし歯や歯周病の予防に努めましょう。
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