あなたは、肺炎によって亡くなられる方が増えているのをご存知でしょうか。

これまで日本人の死因第3位は、脳梗塞などの脳血管疾患だったのですが、数年前に肺炎と順位が入れ替わりました。

とくに、高齢者がかかりやすい「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」の増加が大きく影響しているといえます。

今回はそんな誤嚥性肺炎の原因と予防するための口腔ケア法をご紹介します。

1 誤嚥性肺炎ってなに?

誤嚥(ごえん)とは、食事や唾液などを飲み込む際、誤って食道ではなく気管に入れてしまう行為を差します。

これは年齢に関わらず誰にでも起こることなのですが、反射機能などが正常であれば、咳によって吐き出すことが可能です。

けれども、高齢になると咳反射の機能が衰えたり、嚥下機能が低下することで誤嚥の回数が増えたりします。その結果、気管へと異物が侵入し、肺炎を引き起こしてしまうのです。

そして発症するのが誤嚥性肺炎です。

ただ、これだけでは「誤嚥性肺炎」と「口腔ケア」の関係が今一よくわかりませんよね。そこで口腔内細菌との関連について詳しく説明します。

2 お口の中の衛生状態が強く影響

誤嚥性肺炎は、通常の肺炎と同様に細菌などが原因となることが多いです。

具体的には、口腔内に常在している細菌が食物や唾液に付着し、それが気管へと入ることで肺に炎症を引き起こすのです。

つまり、お口の中の衛生状態が悪く、細菌が繁殖しているような状態だと誤嚥性肺炎のリスクが上昇するといえるのです。

口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防につながるのはそのためです。毎日しっかりと歯磨きを行い、お口の中の細菌が繁殖しないよう努めることで、誤嚥性肺炎のリスクを下げることができます。

3 誤嚥を予防するための取り組み

口腔ケアは、あくまで病原体を増やさないための取り組みですので、誤嚥自体を予防することは難しいです。

誤嚥はいろいろな要因が重なって起こるものなので、まずは根本的な原因を突き止めることが大切です。

食べ物を咀嚼する際に働く筋肉が衰えていたり、嚥下の際に気管がきちんと塞がれなかったりするなど、原因はさまざまです。最近では、このような体の機能の衰えを「フレイル」と呼んだりします。

お口の機能の低下は、「オーラルフレイル」です。

歯科ではそれぞれのケースに応じた治療法を提供することもできますので、まずは歯科医院を受診することをおすすめします。

まとめ

このように、口腔ケアを徹底することで、お口の中がきれいになり、虫歯や歯周病だけでなく誤嚥性肺炎のリスクも低下させることができます。

口腔ケアというのはそれくらい重要な習慣となっていますので、毎日しっかりと行うことを心がけましょう。

もちろん歯科医院での定期的なクリーニングが欠かせないことも覚えておいて下さい。