歯周病にかかると、独特な口臭が発生することがあります。

おそらくあなたも一度は嗅いだことがある臭いで、非常に特徴的です。

口臭の原因というのは、胃を始めとした消化管ではなく、お口由来であることが多いため、「最近、口臭が気になる」という方は、まず歯周病を疑ってみましょう。

1 歯周病で口臭がきつくなる理由

歯周病の原因である歯周病菌は、お口の中で活動していく上で「メチルメルカプタン」と呼ばれる物質を産生します。

これは専門的には「揮発性硫黄化合物(きはつせいいおうかごうぶつ)」と呼ばれるもので、「腐った玉ねぎの臭いがするガス」と言い換えることができます。

歯周病菌の活動が活発になればなるほど、メチルメルカプタンの量も増えるため、自ずと不快な口臭がきつくなっていきます。

2 歯周病菌は酸素のないところを好む

歯周病菌が作り出すメチルメルカプタンは、生ゴミのような臭気を発します。

実際、生ゴミでも歯周病菌のような細菌が食べ物を分解して、強烈な臭いを発するようになるのですが、どちらも共通しているのは酸素が少ない場所を好む「嫌気性菌(けんきせいきん)」という点です。

酸素の少ない場所で食べ物の分解がすすみ、メチルメルカプタンのようなガスが発生するのです。

ちなみに、お口の中は一見すると酸素で満たされた空間のように思えますが、歯周ポケット内に関しては例外になります。

3 深い歯周ポケットは酸素が少ない

歯周病が重症化すると、歯と歯茎の間にある「歯周ポケット」が深くなっていきます。

かなり進行した歯周病では、ポケットの深さが1センチにも及ぶこともあるくらいです。

そんな歯周ポケットというのは、酸素が行き届きにくい空間で、酸素が大嫌いな歯周病気にとっては最高の環境といえます。

つまり、歯周病というのは病態が進行すればするほど、歯周病菌が活動しやすい環境となり、口臭もひどくなっていく病気といえるのです。

4 歯周病を治療することで口臭も改善

歯周病が原因となって生じている口臭は、歯周病の治療を受けることで改善します。

なぜなら、歯周病治療によって歯周病菌の活動が抑えられ、根本的な原因となっているメチルメルカプタンの量も減少していくからです。

お話ししたように、歯周病菌は酸素の少ないところを好みますので、歯周ポケットの深さを改善することは何より重要です。

同時に、歯周病菌の活力となるプラーク歯石をきれいに取り除くことが口臭改善への近道といえます。

まとめ

このように、口臭が気になったらまずは歯周病が疑われます。

その他にも虫歯やドライマウス、あるいは糖尿病などの全身疾患の可能性もあるため、気になる方はまず当院までお気軽にご相談ください。

口腔内に口臭の原因があるかどうかも含め、適切な診査を行います。