歯石には2種類ある

 

歯石には2種類あるのをご存知ですか?

よく私たちが目にするのは白っぽい歯石ですが、実は黒い歯石というのも存在し、普段あまり目にすることはありません。

なぜ黒い歯石を目にすることが少ないのか、その理由は歯石のつく場所が目では見えにくいところだからです。

そしてこの黒い歯石が付いている人は歯周病がある程度進行してしまっている可能性があるため注意が必要です。

 

黒い歯石は歯茎の溝の中に付く

 

黒い歯石がつく場所は歯茎に隠れている歯根の表面です。

それに対し白い歯石は歯茎の上に出ている歯の表面につきます。

そのため、専門用語では白い歯石を「歯肉縁上歯石(歯茎の縁より上に出ている歯石)」、黒い歯石を「歯肉縁下歯石(歯茎の縁より下にある歯石)」というように呼んでいます。

 

 

黒い歯石は歯周病が進行しているサイン

 

白い歯石は歯周病にかかっていない人でもつくもので、小さな子供にでも誰にでもつきます。黒い歯石は歯茎の溝が歯周病で骨が溶けることによって深くなり、歯周ポケットを形成するとその部分につきます。

そのため、黒い歯石が付いているということ自体、「歯周病が進行している」ということを表します。

 

 

なぜ色の違いが起こるのか

 

それではなぜ色の違いが起こるのでしょうか?

白い歯石は歯垢(プラーク)がたまったものが唾液のミネラル成分によって固まったものなので、歯垢の色すなわち白い色になります。

それに対し、黒い歯石は歯茎の炎症によって起こった出血が唾液のミネラル成分で固まってしまったものなので、黒っぽい色になります。

 

 

黒い歯石はなぜ悪い?

 

黒い歯石は放っておくと、そのザラザラした表面に細菌が住み着き、歯周病を悪化させてしまいます。

もちろん歯茎の外についている白い歯石も放っておけば、汚れや細菌が溜まる場所となり、歯肉炎をおこしてしまうため、除去する必要があります。

しかし、より悪質なのは黒い歯石の方です。

それはなぜかというと、白い歯石も黒い歯石も細菌のたまり場になることは変わりないのですが、黒い歯石の場合は歯茎の中という閉ざされた環境にあるため、そのような空気の少ない環境を好む、より悪質な細菌が増えてしまうからです。

 

歯周病の主な原因菌となっているP.g菌は空気がたくさんあるところでは生きていけない嫌気性菌です。

P.g菌を増やさず、活動させないためには、黒い歯石をためないことがとても重要です。

しかし、白い歯石ももちろん取ることを忘れてはいけません。白い歯石は歯と歯茎の境目に付着し、それ自体も歯茎の炎症を起こしますが、もともとオープンだった歯茎の溝の入り口を塞いでしまうので、歯茎の中の空気を少なくし、歯周病菌の活動を活発にしてしまうのです。