歯はとても硬い組織ですが、強い衝撃が加わることによって割れたり、折れたりすることがあります。
その中でも歯が丸ごと抜ける「脱臼(だっきゅう)」に関しては、対処の仕方によって元に戻せることがあることを知っておいてください。
そこで今回は、歯が抜けた時の対処法についてわかりやすく解説します。

1 子供は歯が抜けやすい

子供は、よく転んだり、どこかに顔をぶつけたりしがちです。
擦り傷程度であればとくに問題はないのですが、歯に外傷を負ってしまうのは、今後の発育にも良くありません。
特に乳歯列期の子供の歯は、脱臼しやすい傾向にあるため注意が必要です。
これは、歯を支えているあごの骨(歯槽骨:しそうこつ)がまだまだ未熟であることが関連しています。

例えば、大人の歯はとても硬い骨でしっかりと支えられていることから、強い衝撃がそのまま歯に伝わっていきます。
一方、歯槽骨が脆弱な小児では、歯が折れる前に抜け落ちるという現象が起こるのです。
これは生えたばかりの永久歯においても同じことがいえます。

2 抜けた歯は牛乳に保存する

アクシデントによって抜け落ちた歯は、乾燥を防ぐことが重要です。
これは、歯の根を包んでいる歯根膜を温存することが大切になるからです。

乾燥を防ぐ方法として、牛乳もしくは生理食塩水に浸けて保存しておく方法が良いと言われています。
生理食塩水は普段から身の回りには無いと思いますので、牛乳に浸けるようにしましょう。

牛乳が手に入らない場合で、すぐに歯科を受診できるようならお口の中で保存することも可能です。
しかし、誤飲の恐れがあるので、あまりお勧めはできませんがすぐに歯科を受診できるなら選択肢としてありです。

このような対処により、歯根に付着した歯根膜細胞の寿命を延ばすことができます。

3 できるだけ早く歯科を受診する

歯が抜けた状態が良く、歯根膜細胞も生きたままであれば、そのまま元に戻せる可能性があります。
そうした歯の再植処置は、早ければ早いほど定着率も良くなることから、受傷からできるだけ早く歯科を受診することが大切です。

4 歯の破折や亀裂も早めの受診を

歯が欠けたり、歯質にひびが入ったりした場合は、そのまま元に戻すことは難しいですが適切な処置が必要となります。
例えば、歯のが欠けて神経が露出してしまうと、そこから細菌感染が引き起こされるため、抜髄(ばつずい)という処置を行わなければなりません。
破折の範囲がエナメル質や象牙質内にとどまっていたとしても、虫歯菌への感染は引き起こされることから、いずれにせよ修復処置等が必要となるのです。

ですので、歯の損傷が小規模であったとしても、できるだけ早く歯科を受診するようにしてください。

▼まとめ

このように、何かの拍子に歯が抜けたり、欠けたりした場合は、すぐに当院までご連絡ください。
患者さまの大切な歯質を残せるよう、最大限の努力をいたします。