歯周病というのは「高齢の方がかかる病気」というイメージをお持ちの方も多いことかと思います。
実際、年齢が高くなるにつれて、歯周病のリスク因子も増えてくるため、発症率も増加していきます。
歯周病の発症はそもそも「歯の衛生状態」によって大きく左右されます。
残っている歯の本数(残存歯という)が多いとそれだけ歯周病に注意が必要になります。
1 歯周病の原因は細菌感染
歯周病は、虫歯と同様の細菌感染症です。
歯周病菌の代表格であるジンジバリス菌などが歯茎が感染することで、腫れや出血などをもたらします。
歯周病菌というのは、歯垢や歯石を住みかとすることから、歯がなければ効率よく繁殖することはできません。
だから、歯があるところは注意が必要です。
2 残存歯が増えるほど歯周病の発症率も高まる?
予防歯科の概念が広まり、定期検診を受ける患者さんの数も増えて、日本人の虫歯発症率は徐々に低下していっています。
同時に、高齢になってもたくさんの歯が残っている方も増え、口腔衛生が全体的に向上しているようにも見えます。
ただ、歯科疾患実態調査の結果を見ると、70歳台や80歳台の方の歯周病発症率は悪化する傾向にあるのです。
これはまさに、歯周病菌が繁殖できる場所(歯があることろ)が増えたことによる変化といえます。
3 残存歯が増えることは良いこと
ここで勘違いしていただきたくないのは、「残存歯が増えるのは悪いこと」ではないという点です。
天然の歯を1本でも多く残せることは、お口の健康全体にとって良いことといえます。
例えば、無歯顎になると、治療の選択肢も大幅に狭まりますし、すべて人工物の歯に頼らざるを得なくなります。
その結果、歯が持つ本来の審美性、機能性なども失うこととなるのです。
ですから、これからも予防処置などを受けて、健康な歯を1本でも多く残せるよう、努力しましょう。
同時に、残っている歯のケアも徹底することが大切です。
天然歯が残っていても、適切なセルフケアとプロフェショナルケアを両立させていかなければ、歯垢や歯石が沈着し、細菌繁殖の温床となるからです。
4 定期検診を受けることが大切
冒頭でも述べたように、高齢になるほど歯周病や虫歯のリスクが増え、セルフケアだけでは病気の予防が難しくなっていきます。
そこで重要となるのが「定期検診」です。
お口の中に特別な異常が認められなくても、3ヶ月に1回くらいのペースで検診を受けていただくことで、歯周病や虫歯を予防することが可能となります。
▼まとめ
歯がなくなることは歯周病の発症リスクも大きく減少することとなりますが、それ以上に失うものの方が大きいといえます。
十分に噛むことができないことにより、大好きな食べ物を我慢するということは悲しいことです。
それだけに、天然の歯は1本でも多く残して日々の食事を楽しめることが最善であることは明白です。
ぜひ、歯の定期検診を習慣化してください。
SNSでフォロー