新型コロナウイルスが蔓延する中で、殺菌や滅菌、除菌といった感染予防に関する用語を聞くことが多くなりました。
殺菌・滅菌・消毒・除菌
どれも似たような用語なので、混同している人も少なくないかと思います。
こういった衛生管理に関する言葉を正しく理解しておくことは、ウイルスや細菌から身を守る上で非常に重要です。
そこで今回は、殺菌・滅菌・消毒・除菌の違いについてわかりやすく解説します。
1 病原菌を殺すか、殺さないか
病原菌に対する処置は、「殺す」か「殺さない」かの2つに分けることができます。
殺す処置は文字通り「殺菌」といい、そのくくりの中に「滅菌」と「消毒」があります。
一方、殺さない処置は「除菌」です。このようにまず2つに分類すると理解が進むことかと思います。
2 滅菌
殺菌の一種である滅菌は、細菌やウイルスなどを完全に死滅させる処置です。
これは歯科医院でも行われているもので、診療に使用した器具などが対象となります。
例えば、デンタルミラーや探針、バキュームチップなどの専用器具は、患者さんの唾液や血液が付着します。
その時点で汚染されたものとみなして、必ず滅菌器にかけます。歯を削るためのハンドピースも専用の滅菌器で処理することとなります。
もちろん使い捨て出来るものはそれを選択します。
3 消毒
消毒も殺菌の一種なのですが、殺せる病原体の量は限られています。
皆さんも日常的に使用するようになった消毒液も、それほど強い作用がありません。ただ、細菌やウイルスの数をある程度減らすことができるので、感染予防対策に寄与します。
消毒用エタノールに関しては、強い殺菌力があります。(濃度が重要です)
4 除菌
除菌とは、文字通り病原菌を取り除く処置です。
薬品や熱などによって殺すのではなく、物理的に取り除くのです。最もわかりやすいのが「除菌シート」ですね。ウェットシートなどを用いてテーブルの上を拭くことで、除菌を行えます。
5 抗菌
もうひとつ混同されがちな言葉に「抗菌」というものがあります。
医学における抗菌は、細菌の増殖を抑制するとともに、殺菌する作用も期待できます。
細菌感染を起こした際に服用する抗菌薬を思い浮かべるとわかりやすいですね。一方、工業製品などに使われている「抗菌加工」は、あくまで細菌が増殖しにくい環境を作るもので、病原菌を殺すものではありません。
▼まとめ
このように、衛生管理や感染予防に使われる用語には、混同しやすいものがたくさんあるので注意しましょう。これらの違いを正確に理解しておけば、衛生用品を買う際にも正しい選択が行えるようになります。
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- 滅菌,殺菌
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