歯医者というのは、患者さんに対してことあるごとに「天然歯の大切さ」を伝えるものです。

それは、天然の歯がかけがえのないものであり、どんな修復物や補綴物でもその役割を担うことができないものでもある、ということを知っているからです。

ただ、患者さんからしたら、精巧に作られた人工歯と天然歯の違いを見分けるのはなかなか難しいかもしれませんね。
そこで今回は、天然歯と人工歯の違いを中心に、自分の歯を残すことの重要性をわかりやすく解説します。

1 食べ物の食感や温度を感じ取れる

普段、私たちは、食事の際にいろいろな情報を料理から感じ取っています。

食品の硬さや軟らかさ、歯ごたえなどはもちろんのこと、料理の温度も食事を楽しむ上で重要な要素となっていますよね。

健康な歯列を持っている人は、それらを当たり前のように感じ取っていますが、歯を失ったままにしている人や、人工歯に置き換えている人は、そうした食事の楽しみが半減してしまっているものなのです。

なぜなら、人工歯には歯根がありませんし、食感を感じ取る歯根膜なども存在していないからです。

2 インプラントなら天然歯の代わりになる?

そこで気になるのがインプラントと天然歯の違いです。

確かに、インプラントであればブリッジや入れ歯よりも天然歯に近い機能や審美性を回復させることができます。
インプラントには人工歯根があるため、構造においても天然歯に限りなく近いからです。
けれども、インプラントもあくまで人工物でしかありません。

シンプルにいえば、チタンで作られたねじを顎の骨に埋め込んでいるだけなのです。

そこには食感などを感じ取る歯根膜は存在していないので、天然歯の機能をそのまま再現させるのは不可能といえます。
(とはいっても患者さんの満足度は非常に高いです)

3 虫歯や歯周病を重症化させないことが大切

歯を失う原因の第一位は歯周病です。

歯周病が進行すると、歯槽骨や歯根膜が破壊されて歯を支えきれなくなってしまいます。
また、虫歯が重症化することでも、最終的には抜歯を選択せざるを得なくなります。

こうしたお口の病気を重症化させないこと、あるいは予防することが天然の歯を残すために最も重要であるといえます。

そのためには歯科の定期検診を受け、虫歯や歯周病の予防、早期発見・早期治療に努めるようにしましょう。

まとめ

このように、天然の歯に優る補綴物は今のところ存在していません。
それくらい天然歯というのは重要でかけがえのないものなのです。

歯の大切さは失った時に初めて気づくものかもしれませんが、できればその前に天然歯の価値を知り、一生涯守り続けるよう努力しましょう。

それが、あなたのお口の健康にとどまらず、全身の健康維持・増進にも大きく寄与することにつながるのです。