子供の歯である乳歯は、生後半年くらいから生え始め、小学校に上がるくらいから徐々に大人の歯である永久歯へと生え代わっていきます。

ですから、乳歯というのはあくまで乳幼児期の数年間だけ使う歯ということもできます。

それだけに、虫歯になっても気にせず放置してしまうケースも珍しくありませんが、それはとても危険なことですので注意しましょう。

なぜなら、乳歯の虫歯は次に生えてくる永久歯に対して、大きな悪影響を及ぼすことがあるからです。

ここではそんな乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす悪影響について詳しく解説します。

1 虫歯は一種の感染症

虫歯は、ミュータンス菌などの細菌によって発症する一種の感染症です。

風邪やインフルエンザなどもそうですが、感染症というのは、原因となっている細菌などが増えれば、その周囲にも感染が拡大しますよね。それは虫歯も同じです。

乳歯の虫歯を放置していると、隣の乳歯に虫歯が広がることはもちろんのこと、すぐ下に生えている永久歯にも悪影響が及ぶことがあるのです。

2 永久歯のエナメル質形成不全

乳歯の虫歯が重症化すると、歯の根っこの先にまで虫歯菌による汚染が広がります。

その結果、まだエナメル質が形成途中の永久歯に悪い刺激が加わり、エナメル質形成不全を引き起こすことがあるのです。

専門的には「ターナー歯」と呼ばれるもので、その永久歯はすでに病気になった状態で生えてくることとなります。

ターナー歯は正常な永久歯よりも外来刺激に弱く、虫歯になりやすい傾向にあります。

3 乳歯の虫歯が歯並びを悪くする?

乳歯の虫歯を放置していると、本来抜け落ちるべき時期よりも早い段階で脱落することがあります。

早い時期に抜け落ちても、すぐに下に永久歯が生えているのなら問題ない、と考えがちですが、それは間違いです。

乳歯が抜け落ちる時期がある程度決まっているように、永久歯が生えてくる時期も決まっているからです。

そのため、虫歯によって乳歯が早期に脱落すると、歯列にすき間が生じる期間ができることとなります。

場合によっては、それが数年に及ぶこともあります。

すると、歯列の隙間は周囲の歯によって埋められてしまい、次に生えてくる永久歯のスペースが不足することとなるのです。そうして、永久歯列の歯並びが悪くなります。

まとめ

このように、乳歯の虫歯を放置すると、次に生えてくる永久歯に異常をもたらしたり、歯並びを悪くしたりすることがあるため要注意です。

もしもお子さんの歯に異常が見られたら、すぐに当院までご連絡ください。

お子さんの将来まで見すえた上で、適切な処置を施します。