虫歯予防に有効な「フッ素」。かなり浸透しつつあります。

コマーシャルなどでもよく耳にする言葉ですよね。

それくらい日本でも、予防歯科の概念が広まってきたのでしょう。

実際、市販されている歯磨き粉の8割以上にフッ素が配合されていますので、毎日フッ素による虫歯予防を実践している人が大半を占めています。

ただ、実際のところ、フッ素がどのようなメカニズムで虫歯予防に貢献しているかはよくわからないかと思います。ここではそんなフッ素による虫歯予防効果を詳しく解説します。

1 歯は毎日ダメージを負っている

あなたの歯は、毎日いろいろな刺激にさらされています。

飲み物や食べ物を口に含み、咀嚼や嚥下をする過程では、エナメル質が酸によるダメージを負っています。

その結果、生じるのが「脱灰(だっかい)」と呼ばれる現象です。

エナメル質は酸に弱い性質を持っているため、清涼飲料水やお酢、レモン汁など、酸性の強い物質が触れると、虫歯にかかった時と同じように溶けることがあるのです。

もちろん、虫歯のように、歯に大きな穴が開くような脱灰が起こるわけではありませんが、歯の表面のカルシウムやリンが溶け出していることは間違いありません。

それが毎日繰り返されると、エナメル質が弱くなり、虫歯にもかかりやすくなるのです。

2 フッ素は歯の再石灰化を促す

フッ素入りの歯磨き粉を使用したり、歯科医院でフッ化物の歯面塗布を受けたりすると、歯の再石灰化が促進されます。

再石灰化とは、脱灰の逆の現象で、弱くなった歯の表面に、カルシウムやリンなどが取り込まれることを意味します。

つまり、フッ素というのは、毎日の食事などで傷ついたエナメル質を修復する作用を持っているのです。

3 フッ素は歯を強くする?

「フッ素は歯を強くする」という言葉をよく耳にしますが、これは歯の再石灰化を促進することだけを指しているのではありません。

実は、フッ素が歯の表面に作用すると、カルシウムやリンの取り込みを促進するだけでなく、フッ素自体も歯の中に取り込まれていくのです。

その結果生じるのが「フルオロアパタイト」と呼ばれる構造です。

一般的なエナメル質は、「ハイドロキシアパタイト」と呼ばれる構造からなっていますが、それがフルオロアパタイトに置き換わることで、外からの刺激に対してさらに強い性質を持つようになるのです。

ですから、フッ素はダメージを負ったエナメルを元の状態に回復させるだけでなく、さらに強い状態へと再構成する物質と考えることができます。

まとめ

このように、フッ素が歯を強くすることは、科学的に立証されていることですので、皆さんも積極的に活用することをおすすめします。

とくに、歯科医院で受けるフッ化物の歯面塗布は、フッ素の濃度が高く、歯質を強化する作用も群を抜いており、定期的に受けることが望ましいといえます。