私たちのお口の中は、常に湿度が100%に保たれています。

口腔は、喉へと直結している器官ですので、空気中に含まれるウイルスも通過します。

そういった意味では、湿度が高く保たれていることは、風邪予防に効果的です。

さらに、唾液の中には殺菌作用や抗菌作用など、細菌に対する効果も兼ね備えているため、虫歯予防にも役立ちます。ここではそんな唾液が持つ虫歯予防の効果を詳しく解説します。

1 唾液の繁殖や活動を抑える作用

唾液の中には、リゾチームやペルオキシダーゼなど、細菌の繁殖や活動を抑える物質が含まれています。

これらが正常に作用することで、ミュータンス菌などの虫歯菌は自由に増えたり、動いたりすることが難しくなるのです。

2 お口の中を中性に保つ作用

虫歯というのは、お口の中の環境が酸性に傾くことによって発生しやすくなります。

酸性は、虫歯菌が大好きな環境だからです。歯を実際に溶かしていくのも虫歯菌が産生する酸ですよね。

一方、唾液には「緩衝作用(かんしょうさよう)」と呼ばれるものがあり、酸性に傾いた環境を中性へと戻すことができます。

それによって、虫歯菌の活動が低下し、エナメル質や象牙質も溶かされにくくなるのです。

3 食べかすや細菌を洗い流す作用

唾液には、「自浄作用(じじょうさよう)」というものも備わっています。

自浄作用とは、お口の中に残った食べかすや繁殖した細菌を洗い流す作用です。

食べかすは細菌のエサとなり、虫歯の発生に寄与しますし、細菌の繁殖も言うまでもなく虫歯を発生させます。これらを唾液によって洗い流すことで、虫歯予防の効果は高まっていきます。

4 歯の再石灰化を促す作用

唾液の作用で忘れてはいけないものに、「歯の再石灰化」があります。

私たちの歯は、酸性の刺激に触れると「脱灰(だっかい)」と呼ばれる現象が起こり、徐々に歯が溶けていきます。

これは虫歯によって歯が溶けるメカニズムそのものです。

けれども、唾液による歯の再石灰化が正常に起こっていれば、溶けた歯質も元に戻すことができるのです。

それを可能にしているのは、唾液に含まれるリン酸やカルシウムです。これらが歯の表面に付着することで再石灰化が促され、虫歯菌に負けない強い歯を作ることができます。

まとめ

このように、唾液にはたくさんの虫歯予防効果があります。

それだけに、唾液の分泌は正常に保つことが大切といえます。

食事の時はよく噛むことで、唾液の分泌を促しましょう。

普段からキシリトールガムを噛むなどすることでも、唾液の分泌は促進されます。

唾液の分泌が悪く、お口が渇きやすいという人は、一度、当院までご相談ください。