歯周病にかかると、歯茎が腫れたり、歯磨き後に出血が認められたりします。
これらの症状を改善するためには、歯周基本治療というものが有効なのですが、治療後に「むしろ歯茎が下がってしまった」という経験をされた方も少なくないかと思います。
健康な歯茎に戻したかったのになぜ下がってしまったのか、不安に感じることも人も少なくないようです。今回はそんな歯周病治療後に歯茎が下がる理由について詳しく解説します。
1 歯垢や歯石を除去して細菌の数を減らす
歯周基本治療というのは、歯の表面に形成された歯垢や歯石を除去することが主な処置内容となります。
具体的には、歯のクリーニングであるPMTCや歯石を除去するSRP、歯垢が付きにくい環境を整えるプラークコントロールなどが含まれます。
これらをしっかりと行うことで、歯周病の根本的な原因である「歯周病菌」が減っていくのです。その結果、歯茎に腫れをもたらしている炎症反応が治まります。
PMTC:プロフェッショナル・メカニカルトゥースクリーニング
SRP:スケーリング・ルートプレーニング
2 腫れが引いたあとが本当の歯茎の状態
歯周基本治療が完了すると、歯茎の腫れや出血が治まり、本来の状態へと戻っていきます。
この時、患者さんによっては「歯茎が下がった」と感じられる方も少なくありません。
実際、歯周病にかかる前の歯茎と比べると、その位置が下がっていることも多々あります。これは歯周病によって歯茎や歯槽骨が破壊されてしまった結果なのです。
急性症状と呼ばれる歯茎の腫れや出血が認められる時期は、炎症によって歯茎が大きく膨らんでいるため、歯茎や歯槽骨の吸収がわかりにくい状態にあります。
その状態は、むしろ歯茎が上がっているように見えます。
そこで歯周病治療に効果が現れ、炎症反応が引くことによって、歯茎の本来の状態が露わとなり、違和感が生じてしまうのです。
3 治療によって歯茎が下がるわけではない
歯周基本治療は、歯石の除去を行ったり、日々のプラークコントロールに努めたりするなど、時間と労力のかかる歯科治療です。
それだけに、治療後の方が悪い状態になってしまったら、どんな人でもがっかりしますよね。
けれども、実際は治療によって歯茎が下がるわけではありません。
歯周病によって破壊された状態が「歯茎の腫脹」という症状で隠されていただけなのです。この点は、治療を受ける前にしっかりと理解しておくことが大切です。
▼まとめ
このように、歯周病の治療後には、治療を開始する前よりも歯茎が下がって見えることがありますが、それは炎症反応が引いて健康な状態へと近づいたことを意味します。
ですから、施術後の変化に戸惑わず、そのまま治療を継続されてください。
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