病気の中には遺伝の要素が大きいものがあります。
多くの人がかかって歯を失う原因になる歯周病は果たして遺伝する病気なのでしょうか?
生活習慣病の一つに数えられている歯周病ですが、実は歯周病にもいくつか種類があり、中には遺伝が大きく関わっているものもあります。
今回はそのような歯周病についてご紹介していきます。
歯周病の中には遺伝が大きく関係しているものがある
歯周病のタイプには次のようなものがありますが、若いうちから発症する歯周病は遺伝の要素が大きいとされています。
1.成人型歯周炎
慢性歯周炎とも呼ばれているもので、歯周病にかかっている人の90%はこのタイプです。
30代くらいからかかることが多く、進行はゆっくりで徐々に歯の周囲の組織が破壊されていきます。
これは遺伝性ではなく、歯の清掃状態の良し悪し、食生活、喫煙の有無、ストレス、歯ぎしりなどの生活習慣が発症や悪化に関わっています。
2.前思春期歯周炎
4歳〜10歳くらいで発症する珍しい歯周炎です。
乳歯列全体の歯ぐきに炎症や出血が見られ、遺伝性とされています。
3.早期発現型歯周炎
若年性歯周炎とも呼ばれ、遺伝性の強いものだとされています。
12歳頃より発症し、その後急速に進行して40歳くらいからどんどん歯が抜け始めます。
前歯と第一大臼歯に限局して起こる「限局型」と全ての歯に破壊が起こる「広範型」があります。
4.急速進行性歯周炎
20〜30代くらいから発症し、成人型歯周炎と違って病状の悪化が急速に進んでいきます。
5.特殊性歯周炎
ダウン症候群や好中球減少症というような特殊な遺伝性の病気で見られる歯周炎で、病状が急速に進みます。
歯周病にならないために
特殊な歯周病を除いては、歯周病というものは十分に予防できるものです。
しかし、それ以外にも、確かに歯周病にかかりやすかったり、進行しやすい傾向を持っている人はいるとされており、日本人の30%くらいの人は歯周病にかかりやすい遺伝子を持っているということが言われています。
このような傾向は遺伝的なものである程度決まっていると言われていますが、「かかりやすい」というだけで、必ず歯周病になるわけではありません。
健康的な食生活をする、間食をなるべくしない、歯磨きをきちんとする、喫煙しない、歯科医院で定期的に検診・クリーニングを受ける、というようなことに気をつけることで、たいていの歯周病は予防することができるのです。
特殊なタイプの歯周病にかかっている可能性のある人は、歯周病治療を専門に行っている大学病院などでなるべく早めに治療を受けることで、適切な治療を受けられ、進行を最大限に食い止めることが可能です。
気になる人は一度かかりつけの歯科医院で相談してみましょう。
SNSでフォロー